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あなたは生物には寿命が存在すると思っているだろうか?
死神達は人の心が死にたいと願った時にその命を刈り取る。
死神達は人間のような心の構造をしているらしく、強く死にたいと願った人をわざと残しておいたり、
一瞬しか死にたいと願っていないのに、容赦なくその命を刈り取ったりするらしい。
これからする話も、そんな無慈悲な死神の話である。
あるところに一人の死神が空を飛んでいた。
その死神はまだ若く、その体は好奇心に満ち、力に溢れていた。
この死神には前から実験したいことがあった。
それは、古今東西の話に存在する、死神による死の宣告である。
この死神は、この死の宣告を受けた人間が、本当はどうなるのか確かめたくて仕方がなかった。
そして、死神はとてもいい獲物を発見した。それは、少年だった。
その少年は心と体がとても弱く、いつも死にたいと願っていた。
死神は、このような確実に宣告を外さないよう獲物を求めていたのだ。
死神は、この少年に接触し、いくつかの力を使い、自分を死神だと分からせたあと、
「お前の命はあと一週間だ」と宣告し、姿を消した。
それから、少年はどんどん衰弱していった。あと少しで死ぬので、飯も喉を通らない有様だった。
死神は、本当はこんなふうになるのだと、自分の実験に満足していた。
しかし、うまくはいかないものである。
あと21時間23分48秒のところで、少年は狂ってしまった。
少年は、まず家族を惨殺し、そのあと街に出て手当たり次第に人を殺して、刑務所に入れられた。
死神は困った。なぜなら、少年には全く死を願う気持ちがなかったからである。
ほんの少しでもあれば、死神達が力を合わせて、狩ることもできるが、全くなかったらどうしようもない。
弱った死神は、年上の死神に相談することにした。すると、封印するとことができると聞かされた。
死神は喜び、年上の死神に封印を頼んだ。すると、少年と同じ部屋に行けと言われる。
言われた通りにすると、自分も一緒に封印されてしまった。
すぐに出してくれと懇願すると、年上の死神は言った。
『前から実験したかったんだ。』